戦国時代の武将 織田信秀・信長の二代に仕えた 教養があったため、信長の教育係に任命される 信長の奇行ぶりにほとほと頭を悩ませ、いっつもお説教の毎日 とうとう最後は「ワシの責任であのような殿になってしまった」と切腹 信長はこれをとても悲しみ、政秀のために寺を建て線香を欠かさなかったと言われています |
平手政秀さんにインタビュー | |
ハガクレ |
今回はあの織田信長の教育係、「じぃ」こと平手政秀さんです |
政 秀 |
イタタ・・・ |
ハガクレ |
どうしたんですか? |
政 秀 |
いやな、いつもあのうつけ・・・いや信長様を追い掛け回してたので体中が痛くてな・・・。挨拶しようと思ったら腰が・・・いたたた |
ハガクレ |
はぁー、大変そうですね。というか、あの信長さんの教育係じゃ大変だったんでしょうねぇ。足崩してくださいよ。リラックスしたカッコでいいですよー |
政 秀 |
むむ、すまぬな。どっこらしょっと。で?ワシにナニを聞きたいのじゃ? |
ハガクレ |
もちろん信長さんについてですよー!えっとまず、信長さんってどんな子供だったんですか? |
政 秀 |
信長様はな、織田家当主・信秀様の三男としてお生まれになってな |
ハガクレ |
えっ!三男??長男じゃなかったんですか? |
政 秀 |
信秀様の長男・次男の母君は身分の低い女性だったのじゃよ。 信長様は正室・土田御前様からお生まれになってな。まだこの頃は母親の血統を重んじる時代であったのじゃ |
ハガクレ |
へーぇ。そうだったんだぁ |
政 秀 |
じゃがな、ワシの目から見て、信長様は只者じゃない何かを持っておられましたぞ。生まれた時から「この赤子は他の子とは違う」というナニかを持っておりましたぞ |
ハガクレ |
えー?赤ちゃんの時からぁ?それって贔屓目なんじゃないですかぁ? |
政 秀 |
いやいや、信長様は赤子の頃から激しい気性の持ち主でな。乳母の乳首を噛み切るのじゃよ |
ハガクレ |
うっわー。ナニそれ |
政 秀 |
夜泣きはすごいわ、癇癪もちだわ、乳首は噛み切るわで乳母が次々変わりよってな じゃが、滝川一益の紹介で池田恒利の妻が乳母になってからその癖はぴたりと止まりよった |
ハガクレ |
へー。そうなんですか |
政 秀 |
その乳母の息子は池田恒興と申してな、のちに織田軍団を支える有力な武将に育ったのじゃ。信長殿は赤子の時からそういう変な運をお持ちじゃと後から思ったものよ |
ハガクレ |
ほぉー |
政 秀 |
じゃがな、信長様はとんでもない子にお育ちになった。ワシの教育が悪かったのか・・・。 |
ハガクレ |
どんな子に育ったんですか? |
政 秀 |
とても一国の主に見えないようなスタイルで町を闊歩するのじゃよ。 髪の毛はボサボサでいっつも茶せんで適当に結び、洋服もきちんと着ずに常に片方の肌を出してなぁ・・・。 |
ハガクレ |
ふーん。ヤンキーだったんですね |
政 秀 |
はぁ・・・・。さらには前田利家らヤンキー仲間とツルミはじめ、人様の家の柿の木から勝手に柿をもぎとりむしゃむしゃ食べ歩くは、ヤンキー同士でケンカばかりだわ・・・ |
ハガクレ |
大変だったんですね |
政 秀 |
大変どころではない。織田家の家臣達の間からは「あんなうつけが織田家の当主になったら織田家も危ないんじゃないか」という声が出始めてなぁ。 重臣の柴田勝家や林道勝らが信長殿の弟・信行様のほうが新当主にふさわしいんじゃないかという声まで出てきよった |
ハガクレ |
へー |
政 秀 |
それでワシはな、結婚でもすれば落ち着くのではないかと考え、斉藤道三の娘の「帰蝶」様をお嫁さんに迎えることに成功したのよ。これで少しは落ち着くかと思ったのじゃが・・・ |
ハガクレ |
ダメだったんですか? |
政 秀 |
はぁ・・・・。全く変わらにゃせんかったのじゃ。 変わらぬどころかますますひどくなりよった。さらにはお父上の信秀殿が死んでしまってな |
ハガクレ |
ふーん |
政 秀 |
その時の葬式のことじゃ。喪主でありながらいつまでたっても葬式の場にこないのじゃよ |
ハガクレ |
教育係としてはドキドキですね |
政 秀 |
ほんに。まわりの者からは「オマエのしつけが悪い」と罵られまくてな。その時、ずかずかと廊下を歩く音がしたのじゃ |
ハガクレ |
やっと来たんですね |
政 秀 |
そうじゃ。が、その姿をみてワシは腰を抜かしたぞい。 なんといつものうつけスタイルのままで、そのまま真ん中を通り焼香の灰をつかんでお父上の位牌めがけてバっと灰を投げ、「渇!!!」と言ったと思ったら、またずかずかと帰ってしまったのじゃ |
ハガクレ |
すごいですね・・・・ |
政 秀 |
もうみんな呆然じゃ。ワシをはじめ、全員が口をあんぐり開けとったわい。金縛り状態じゃ |
ハガクレ |
でしょうね・・・。心労お察ししますよ |
政 秀 |
その後すぐにな、信長様はワシの息子が大事に育てている馬を欲しがったんじゃ。 ワシの息子がな「この馬は信長様のために戦場で戦うため大事に育ててきました。戦場で活躍するまではこの馬は手放せない」と言ってきたのじゃ。 ワシは信長様にそのことを伝え、何とか諦めてもらおうと思ったんじゃが、ダメじゃった。ワシはな、とうとう自刃したのじゃよ |
ハガクレ |
えええええ!死んだんですか! |
政 秀 |
そうじゃ。手紙を書いてな 「ワシは今まで、信長様を誰よりも立派な主君になってもらおうと思っておりました。じゃが、このようなつまらぬことで家臣とケンカするようでは、ワシがやってきたことは無意味であったと存じます。」と書いて切腹したのじゃよ |
ハガクレ |
うっわー。ホントに命を賭けた教育ですね。政秀さんの死は信長さんにとって痛かったんじゃないですかねぇ |
政 秀 |
どうかのぅ。じゃがな、あの世で柴田勝家にばったり会ってな、その後のことをちょっと聞いてみたのじゃ |
ハガクレ |
どんなことですか? |
政 秀 |
ワシが死んだ後な、信長様のうつけっぷりは変わることがなかったようでな、とうとう柴田勝家らが弟の信行殿を先頭にたて、クーデターを計画したのじゃよ |
ハガクレ |
えっ!あの信長さんに向かって柴田勝家さんが!? |
政 秀 |
そうじゃ。じゃがな、信長様はすぐさまその気配を察知してな、なんと数少ない兵で立ち向かったのじゃ。 そしてな柴田勝家らに「おのれ!主君であるこのワシにこのようなことをしていいと思ってるのか!」と一喝したのじゃよ。 |
ハガクレ |
へー |
政 秀 |
さすがに勝家らも主君に弓を引くということに引け目があったんじゃろうなぁ。それにその時の信長殿の采配を見て「この人はもしかして実はすごいんじゃ・・・」と、思うところもあったようじゃ |
ハガクレ |
なるほどねー |
政 秀 |
こうしてクーデターは終わり、その後信行殿は信長様によって殺されてしまったのじゃ。 |
ハガクレ |
勝家さんたちは? |
政 秀 |
無事じゃよ。後で聞いたんじゃが、信長様の采配を見て見直したと言っておった。少しはマシになったようじゃの |
ハガクレ |
ヨカッタデスね |
政 秀 |
それにな、あの世でくつろいでる時に、たまに下界からポーンと柿が飛んでくるのよ。どうやら信長様がワシめがけて柿などを投げてたらしいのじゃよ |
ハガクレ |
優しいとこありますね |
政 秀 |
本当は優しいお子なのじゃ。 ただあの世にいると沢山の人が「信長に殺された」「信長に焼かれた」「信長に串刺しにされた」と言ってるのじゃ。信長様は次はどんなことをやったのかと心配で心配で全くゆっくりできんわい |
ハガクレ |
いつまでたっても心配なんですね |